日々の生活の中の出来事を題材にした前店主の短歌(平成29年作)です。
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昭和から 平成になり 三十年 女孫の時代は 穏やかであれ 帯解きの 幼な姉妹は 晴れやかに 吾れのカメラに ほほえみ返す

もういらない 補助輪なくても 大丈夫 走れ走れ 六つのちひろ 介添えの 吾の手を離れる 時は今 孫の自転車 ふらふらスイスイ

街角に 笑い広がる ちんどん屋 白塗り役者に 汗光りおり 蔵の街 ちんどんまつり 華やいで 「東西東西」 甍に響け

孫育て ぐちのひとつも 言いたくて 今夜は夫と うどん屋へ行く 午後四時は お腹空かせて 孫帰る 味噌おむすびを 大きくにぎろう

繰り位牌に 慶応四年 九月没 享年二十才 花散ルとあり 迎え火に 三十名は 乗れまいと こんばんぢょうちん 二つ用意す

美しき 薔薇を求める 欲望は 遺伝子までも 操るという シューベルトを わらべ心に 聞いてみん 野に咲く 薔薇に 心動くも

津軽路の 駅舎カフェに 立ち寄りて 二時間先の 列車を待つも ギター弾く 吉田拓郎 思いつつ 妻に酌する 農泊の宿

すがすがし 早朝の風 ほお撫でて 真白き満天星 われに語りぬ 幾重にも 白き小さな 鈴つけて 今年も咲いた 満天星つつじ

苦み良し あさりの味噌汁 すする朝 桜咲くかな 燕来るかな あやとりで 亀ができたと 見せに来る 孫もいよいよ 新一年生

一日の 疲れが取れると 作り置く ふとんの中の 妻の湯たんぽ 寒い夜は 妻の作りし 湯たんぽで 夢を見ながら 朝まで眠る

「おじいちゃん 嫌い」と言われて まっ白に 悲しきイクジイ 返答もなし 「おじいちゃん 一緒にお風呂に 入ろうね」 ふたりの孫が 誘ってくれる